企業事例紹介Vol2
【企業事例】社員と“人生を共にする”会社へ

企業情報
株式会社amis/代表取締役 山城 麻美様
沖縄県那覇市・豊見城市で就労継続支援事業所を運営。「紡ぎ合える社会」を理念に、障がいを持つ方がものづくりを通じて輝く場を創出しています。従業員一人ひとりの人生に寄り添い、誰もが安心して長く働ける職場環境を追求されています。
育児も介護も、チームで支えるamisの挑戦
子育て・介護を経て見えた、「働きやすさ」の本質
「子どもが熱を出したとき、預け先がない。部活の応援にも行けない・・・」
「祖父母の最期を見送りたいけれど、仕事がある・・・」
これは、株式会社amis代表・山城麻美氏が実際に経験した“しにくさ”の数々です。
育児、介護、仕事。どれも大切だからこそ、何かを犠牲にしている感覚に心が揺れる毎日。
そんな中、在宅で祖父母の看取りをやりきったとき、山城氏が感じたのは「人生で最高のギフトだった」という確かな実感。
その体験が今、amisという職場に流れる“支え合い”の文化と、「制度は手段、目的は社員と人生を共にすること」という想いの根幹になっています。

見えない想いを、“制度”と“空気”に変える
amisでは、従業員の多様な背景に寄り添うため、以下のような取り組みを進めてきました。
amisの取り組み
■ 就業規則の見直しと「見える化」
社会保険労務士と連携し、介護休暇や時短勤務の制度を整備。
誰もが「使っていい空気」を感じられるよう、制度の明文化と周知に取り組んでいます。
■ 実態把握アンケートと個別面談の実施
20代のシングルマザー、介護と仕事を両立する若手スタッフなど、現場のリアルな声を拾いながら、就業時間の調整や子連れ出勤など、柔軟な対応を日常化。
■ "相談しなくていい”文化づくり
デイサービスの送迎や子どもの行事は、勤務表にあらかじめ記載。
「休みます」と伝えるのではなく、「共有する」ことで支え合う関係性が自然に生まれています。
「働きやすさ」はチームで育てるもの
2つの拠点にはそれぞれ個性があります。
ベテランが多く自律的な高嶺事業所と、若手が多く声を掛け合う小禄事業所。
それぞれの強みを活かしながら、「誰かが困ったときは、誰かが手を差し伸べる」。
そんなチームの空気感が、働きやすさの土台になっています。

そして何より特徴的なのが、社員たちの口から自然に出る「会社が好き」という言葉。
まるで“推し活”のように、仲間や会社を応援する文化が根付いています。
制度は“組織成長”の土台でもある
山城氏は、「制度は単なる福利厚生ではない」と語ります。
それは、社員一人ひとりの人生と向き合い、組織として成長していくための“しくみ”。
必要だからこそ整えた制度──それがamisらしさです。柔軟な働き方はすでに根付いていましたが、産業ケアマネの導入を機に、制度として形にすることの重要性を再認識。社会保険労務士との協働により“見える化”を進めた結果、公的制度との連動も自然と実現しました。
本質はいつも、現場にあります。amisはその声を起点に、成長を続けています。
「できる」と信じる。だからチームは強くなる。
山城氏の座右の銘は、「絶望的な状況でも、できると信じる」。
この言葉の背景には、彼女自身が子育てのなかで経験した忘れがたい出来事があります。
それは、少年野球全国大会──1回戦、2アウト、7対0で負けていた状況からの奇跡の逆転勝利。最終的にチームは全国制覇を果たしました。
「誰もが“もうだめだ”と思った場面で、私は負ける気がしなかった」と山城氏。
息子がエースで4番を務めるチームの中で、「ONE FOR ALL, ALL FOR ONE(一人はみんなのために、みんなは一人のために)」というスローガンを掲げ、選手たちが一丸となって闘ったその姿は、山城氏にとって“信じ抜くこと”の本質を教えてくれた原体験となりました。
その経験を胸に、日々の気づきと成長を重ねながら起業という道を選んだ今、山城氏はこう語ります。
「社員が“自分らしく”働きながら、家族の人生にも向き合えるように。
そして一人でも多くの人が、“できる”と思えるように」
その想いが、amisという会社を“社員と人生を共にする場”へと育て続けています。

