2023年9月29日(金)、「望まない介護離職防止」を目的に産業ケアマネが主体となって開催する「産業ケアマネフォーラム」が山梨県にて開催され、組合代表理事の大城と、副理事の中山がパネリストとして登壇しましたことをご報告いたします。
少子高齢化、労働人口減少 の進む我が国では、家族の介護・看護を理由に仕事を辞める「介護離職」が社会課題となっています。
介護離職者数は年間10万人前後を推移し、総務省統計局公表によると、令和4年10月時点において直近1年間の介護離職者数は10万6千人となりました。
今回のフォーラムの内容や参加者からの感想を一部共有いたします。
「なぜ今、仕事と介護の両立が必要なのか」「仕事と介護の両立をするために必要なことは」について、考えるきっかけとなれば幸いです。
今回は諸事情でオンライン配信なしの現地での開催となりました。また、2部では初めての試み、会場の皆さまも参加型パネルディスカッションとなりました
■1部講話「なぜ仕事と介護の両立支援が必要なのか」
おかげさま社労士事務所 山本 武尊氏
■2部パネルディスカッション「それぞれの立ち位置から役割を考える」
◇パネリスト
株式会社NEXTINNOVATION 五味和仁氏
おかげさま社労士事務所 山本氏
株式会社さんだん花 新垣俊氏
おきなわ仕事と介護両立サポート協同組合
代表理事 大城五月(合同会社hareruya)
副理事 中山哲郎氏(合同会社Reさぽっと)
その他、会場の皆さま(企業、士業、家族介護当事者、ケアマネジャー、地域包括支援センター職員、社労士、ヘルパー、金融業、産業ケアマネなど総勢20名)
◇会場に参加された方のコメント
企業
- 企業として介護離職という課題を知る事になった。もう少し勉強したいと思った。
- 自分一人で解決できない。それぞれ想い、ソリューションをつくる。企業として自助やビジネスとして続くためのビジネスモデルをつくらなければならない。
- 育児だと理解がしやすい。介護は言いづらく理解されづらい。言っちゃいけないという認識があるのじゃないかな。介護で離職していてもオープンになっていない。
- 30代の方が父親の介護を理由に残業を制限している。もっと使い安くなるには、環境整備、風土をどのようにしたら良いのか考えていきたい。
- これまで育児だったのが、今後は介護に取り組んでいる事が企業にとってPRになるのでは。長くいられる会社、安心して働ける会社として取り組んでいけると良い。実態把握調査をするなかで今後5年を考えた時、社員にとっても考える良いきっかけとなるかもしれない。
- 育児については目を向けている。実際に休みながら育児に関わっている。介護となると制度を使っている人の話すら出ていない状況。社会課題として感じる。少子高齢化のなかで介護職員の担い手が少ない。それをどうにかできないか。
介護を経験した人
・介護の仕事をしながら自宅の家族介護はとても大変だった。父が自宅で死にたいという気持ちを尊重したが、苦しかった。
いかに穏やかに過ごせるかをやってきた。不安な事が沢山あるのにくみ取ってくれないんだろう。仕事が続けられるかどうかわからない。今後は自分の環境でいかしていきたい。
普段支える側の人
- 高齢者支援において重要でありながら「事前に備えること」が弱い(地域包括支援センター職員)
- なるべく仕事を辞めずに介護を続ける方が良い。企業のシフト調整をさせてもらった事がある。
- 農村地域、家族のなかでなんとかしようという雰囲気がある。オープンにし、垣根をつくらず人に関わってもらう事も大切。
- 私は家族にとことん介護をさせてきた側のケアマネだったと思う。それでも家族からは「やりきった」という言葉もあったが、今後は仕事を辞めずに介護をやりきることを支援していきたい。・病気を持っている方は日常のストレス(生活、仕事など)を抱えているが、それは薬で治るものではない。職場でいかにプライベートの話をするのが大変かを知った(産業医)
- 親の介護に悩み困る子どもと、子どもに迷惑をかけたくないという親としての気持ちがある。
- 虐待の理由として、介護のために仕事を辞めたあと、親の年金を生活の糧にすると、金銭的にとても苦しい状況。企業には働く従業員の先に家族がいることを気に留めて欲しい。
- 企業には支える介護サービス事業所とパートナーシップを持ってもらえると良いなと思う。遠距離介護の辛さなど、親が住んでいる包括支援センターに相談してほしい。働く家族は仕事と地域包括支援センター営業の時間が重なり、気軽に相談ができない現状がある。相談があれば包括がアウトリーチで出ていくことができる(地域包括支援センター職員)
- 親として家族や子どもへの想いをきく。家族の意向として、介護力のアセスメントとして、介護の負担だけではなく、仕事とのバランスをもう少し踏み込んで聴く事も必要(主任ケアマネ)
- 周知するために活動しているが、企業に実感してもらえていない状況。介護に直面しないと企業も感じてもらえない。動かない。介護に対して備えてもらうという事に対して壁を感じる(産業ケアマネ)
- ケアマネ、産業ケアマネが共存することで、企業にとっても従業員にとっても良い。
- 本人が困るというよりも家族が困った状態で相談がくる。選択肢が少なくなっている。根本的な困り事に仕事が出てくるのであれば、どういう仕事のサイクルで、どの辺が心配なのか、不安なのか、仕事の協力を得る事ができるのか、困り事がちゃんとわかれば、みんなで話あう状況をつくれると解決が見えてくる。仕事を諦めるという選択する場合、守るものを守る事ができない。介護する人が自分の生活が出来た上で、高齢者の意向と一致させる必要がある。職場への協力は一般のケアマネには難しい。産業ケアマネが企業窓口になってほしい。
社会保険労務士
・企業の課題感。風土、聞いてよいのか、言ってよいのかという風土。育児は分かりやすいけれど、介護は死に向かっていくという部分でオープンにしづらい。現状を知ってみる。働いている人の情報収集先は企業同僚や介護経験者。職場風土をつくるには経営者のリーダーシップが必要で有効的。今後10年以内には介護離職が顕在化していく。
記者
・企業側は介護の実態を知らない。会社内で介護の状況は聞かない。育休の制度は充実しているが、介護は見えないことが課題。産業ケアマネの必要性も実際にことが起きないと動き出さない。気付きづらい。見えていないだけでないのか?というと、データをみるとそうでもないと思う。見える化、早めの対応、企業も対応ができる必要性がある。
それぞれの立場から思う「仕事と介護の両立支援」について、沢山の意見交換ができました。
当日参加された皆さま、運営してくださった五味さん、ありがとうございました😊
■過去の産業ケアマネフォーラム記事
第2回 産業ケアマネフォーラムin北海道
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=2138931026290664&id=100005213624043